Alumni
Graduates in 2019
当初自分の研究は後ろ向きの観察研究でささっとやるつもりでいたのですが、当教室は研究の方法論に厳しく、古川教授からこのデザインとデータではダメだと早々に引導を渡されました。そこから前向き研究に舵を切り、当初は思ってもみなかった、複数の企業や海外の大学と共同で多施設共同研究を開始するに至りました。多施設研究に人を巻き込むには、説得力のある堅固な方法論で研究をデザインする必要があります。また、前向き研究には様々なトラブルが付き物で、運営にはかなりのノウハウが必要です。当教室はその両方において非常にうってつけといえるでしょう。さらに、自分では不可能と思える事にも、「求めよ、されば開かれん」と背中を押して頂いたのが大きな転機でした。できそうな事をやるのではなく、やりたい事・必要な事にチャレンジする姿勢を学びました。これは一生の宝になると思います。
The MPH course provided me with a basic understanding of public health. In addition, I learned about the EBM (evidence-based medicine) in our department. We practiced critical appraisal in our Tuesday meetings. This helped me to enhance my understanding. The procedure has four steps: 1) Identify the problem; 2) Search for evidence; 3) Access how much to trust the evidence; 4) Decide how to apply the evidence to solute the problem. Personally, the EBM does not only mean finding an answer to a clinical question like “does e-cigeratte help to quit smoking or not?”, it also taught me critical thinking and a method to solve problem. I was honored to obtain the best score in the MPH project presentation, with my study on the quality of Chinese randomized controlled trials (relative to the above steps 3). Thanks to the experience here, I found my interest in the clinical study and made it my job.
Graduates in 2018
MPH-DrPHコースでMPH卒業時にも寄稿させていただきました。3年経過し、様々な経験をして自らの関心や取り巻く環境も大きく変わりました。しかし変わるほどにSPHで学んだこと、そして教室で学んだことがどれだけ重要であったかという事を実感いたします。 何を学ぶかというよりは、誰から学ぶかがすべてだと思っています。 研究テーマが精神医学領域であるか、系統的レビューかどうかは表面的なことにすぎません。
専門領域に関わらず自らのフィールドとアイデアを持ち、でもそれをどのように生かせばよいのか、ゴールまでの軌跡が描けず苦しんでいる全ての人に健康増進・行動学分野をお勧めします。
私は消化器内科医として臨床の中でいくつかの疑問を抱えていました。しかし、自身の疑問を形にし、解決するまでの道筋を描くことができずにいました。10年以上のキャリアを否定されるのが怖かったのもあります。そんな折に出会ったのが“認知行動科学を自分の医療に応用”という健康増進・行動学教室のホームページでした。
思い切って古川教授にメールをした1年後、できないと思い込んでいた臨床系と社会学系の二束草鞋を履いて京都大学の大学院に入学していました。更に1年後、古川教授をはじめとする諸先生方のご指導のお蔭でH29年度の臨床研修者育成(MCR)コースの優秀賞を頂くに至り、新たな自信を得ることができました。
自身の疑問を解決する道筋が見えなくなった気がしている方にはまず、健康増進・行動学教室の扉を叩いてみることをお勧めしたいと思います。叩いてみれば、案外他の扉にも鍵はかかっていないことに気付けるかもしれません。
Graduates in 2017
臨床研究の方法論についてどこまで理解したら実際に研究を始めてもよいのだろうか?
この研究計画は本当に実行に移す価値がるのだろうか?
数年間も悩んだ後、古川教授、渡辺准教授のもとで学ぶことに決めました。入学後の数ヶ月で、臨床研究の方法論をそれなりに理解したと思えるようになりました。そうして提出した研究計画を一読した古川教授は、数分間頭を抱えた後、「限りある人生の時間をつかって、その研究を本当にするの?」と仰いました。私も頭を抱えた後、これこそが入学前に求めていたものだと思いました。
妥当なものは妥当だし、妥当でないものは妥当でない。とてもすっきりとした1年間を過ごすことができました。卒業翌年には2本の論文を出版することができ、今も職場の同僚と楽しく臨床研究に取り組んでいます。
過日に独学での臨床研究に行き詰まった整形外科医の私は、一切のツテも無い中藁をもつかむ思いでMCRを受験しました。正直、健康増進・行動学分野に入ったのは偶然のイタズラでしたが、古川教授をはじめ同級生に至るまで、極めて能力の高い方々と一生の宝になる毎日を過ごせました。結果、古川教授が課題に挙げる“自分が精一杯頑張って可能な研究より、ちょっと上と思えるプロトコル”を完成さることができ、卒後から18施設で走らせております。古川教授の指導は常々空気を変え、高く正しい意識を植え付けさせるものであり、間違いなくお勧めできる教室だと思います。
Graduates in 2016
当教室の良さの”一部”をご紹介します。
●様々な学生のレベルに対応できる
自分のような受動的な人間には研究テーマを一緒に考えるところからアドバイスがもらえます。一方、研究テーマをすでに持っていればさらにブラッシュアップしてもらえます。論文化するまでには、プロトコル段階、結果が出た段階、論文を書いた段階などで検討会があります。教員の方々は大変だと思いますが手厚い方だと思います。
●大規模研究に関われる
私が在籍した時は、抗うつ薬の2000名規模の臨床研究や、抗うつ薬の系統的レビューに関わらせて頂きました。社会に与える影響が大きいこれらの研究の共著者になれたことは光栄でした。なお、これから入学する方はスマートフォンによる精神療法の研究などに関われるチャンスがあるかもしれません。
●雰囲気が良い
皆さん優しく、現在、人間関係でのストレスはありません。教授の古川先生にも相談しやすく、事前予約をすればしっかり時間をとって相談にのってくださります。また、隔週で古川先生を含む全員と、うどん屋に行ってざっくばらんな話もできます。
以上です。ちなみに、私は教室関係者ですので、良い方向にバイアスがかかっているかもしれませんが、これから入学する方にとって特段悪いところは思いつきませんでした。
私は卒後臨床研修修了後、精神科医として勤務していました。日常診療の中で、臨床疑問をどのように解決すればよいのか、最新の知識をどのようにアップデートしていけば良いのかと漠然と疑問に思っておりました。一般的には成書を読む、原著論文を読むなどと言われることもあったかと思いますが、成書ならば内容は必ずあっているのか、数ある論文の中でたまたま目に付いた一本の論文を読むことにはたして意味はあるのか、などとまた考えてしまい悶々としておりました。そのような状況ではひたすら本、論文を読むという行動はとれず、何か効率的、合理的な方法はないかと考えていたところ、京大のSPHの存在を知りこれだと思い入学しました。
その結果上記の悩みは解決いたしました。
先生方、先輩、同期の皆様から指導を受けながら実際に自分の研究を仕上げていくことで多くのことを学びました。また数多くの講義、所属教室での指導、勉強会などもあり研究に必要な基本的な考え方や情報リテラシーは随分身についたと思います。
同じような悩みを持っている方、臨床研究を基本から学びたい方などには特にオススメです。
漠然と何かを調べようとして、とりあえずデータをとってみた経験、あるいは学会発表のノルマのために有意差のあったものを探して、したり顔で発表したという経験はありませんか?私は精神科医として大学病院に勤務する中で、こういったやり方にモヤモヤしたものを感じながらも、だからといって、どこがどう問題なのかを論理的に説明できないままに暮らしていました。しかし、このモヤモヤは臨床経験とともに次第に大きくなっていきます。そして、それがどうしようもなくなった時に京大SPHのことを知り、思い切って入学しました。
SPHでは公衆衛生に関係する様々な分野の系統的な講義があり、大学生の頃以来の久しぶりのレポート・発表三昧です。その中で研究の方法論の王道を学べます。下手な方法に基づく研究は砂上の楼閣であり、そうならないためにはどうしたらいいかを自分の頭で考えられるようになります。そしてモヤモヤが晴れると、意外に世界はすぐそこにあることに気づくはずです。
京都での学生生活はとても楽しく充実しています。ロケーションは完璧です。長い人生のほんの数年、思い切って学生に戻ることをお勧めします。そこからの人生、変わると思いますよ。
Graduates in 2015
健康増進・行動学分野は精神医学領域の研究や系統的レビューを念頭に置いて入学される方にはより理想的なのかもしれません。しかし私に言わせれば、古川教授のご指導を直接受けられることこそが最も優れた点であると思っています。
私自身は循環器領域を主な生業としています。人づてに古川教授にご相談させていただいたのが最初のきっかけでした。早期再分極の不整脈基質を心磁解析で同定するという今考えれば全くお門違いの研究の相談をさせていただいたにも関わらず、急所を突くご指導をいただき、臨床を離れてでもついて行こうと決めました。古川教授のご指導のお蔭で形にすることができた研究はH26年度のMCR優秀賞・課題研究優秀賞のW受賞するに至りました。また、研究を通じたやり取りの中で臨床研究におけるアイデアを形にするためのノウハウを数多く学ぶことができました。
専門領域に関わらず自らのフィールドとアイデアを持ち、でもそれをどのように生かせばよいのか、ゴールまでの軌跡が描けず苦しんでいる全ての人に健康増進・行動学分野をお勧めします。
平成25年度から2年間、専門職学位過程に在籍させて頂きまして、教授をはじめとしてメンバー、教室にお世話になりました。
皮膚科と精神科の臨床の中で浮かんでくる疑問をリサーチクエスチョンとして具体的に取り上げていく研究の方法論を学べました。
また、他の場所では受けられないような、肌理こまやかなメタアナリシス講義の導きによって、高嶺の花だったメタアナリシスにもチャレンジできて、満足感いっぱいです。
熱意があれば、評価してもらえる暖かな雰囲気は、日本だけでなく、世界の医療を変えるような多くの研究を手がけてこられた古川先生のもとで育まれていると思います。
Graduates in 2014
平成23年4月、社会人枠にて健康増進行動学分野DrPHに入学した。3年という期間の中で社会人として勤務しつつ研究を行い学位を取得するには優れた指導あるいは本人の研究的資質、職場のバックアップ等の好条件が必要である。当教室には様々なリサーチクエスチョンがプールされており、リストから自分の興味あるテーマを選び文献ベースの研究を行っていくことが可能であり、研究者ではない社会人が研究の世界に飛び込むには理想的な環境がそろっていた。また、古川教授からの研究指導は非常に的確・丁寧であった。もちろん研究的資質に富んだ者にとっては、当教室は限りないチャンスと知的興奮にみちたワンダーランドであることは言うまでもない。
As a student without a medical background, studying at Kyoto University School of Public Health provided me with opportunities of learning all kinds of new things. The courses I took during the first year make wide coverage of knowledge in each field in public health, and the courses of basic medicine that offered especially for non-medical students are also quite helpful. Working on my research topic during the second year enabled me to deepen my understanding in knowledge that were already obtained, as well as to keep on learning new things. Weekly seminars held in the lab also greatly encourage learning and practicing, and the communications and activities carried out with lab members have made the study life here more colorful and fun. These two years studying here was a precious experience for me.
平成25年度MCRコース入学の大西輝と申します。医師としての専門は膠原病・リウマチであります。精神科の医師が多い当講座で、当初はやっていけるか不安もありましたが、当講座はスタッフ・学生数は少なめで一体感がありました。古川教授は、微笑みながら研究の締め切りを決めるという恐ろしい所業をなされますが、教授の熱血指導のおかげで何とか乗り越えられました。また、研究ミーティングで行われる文献の批判的吟味は、授業ではカバーしきれていない詳細ものでありました。忙しくも有意義な一年でした。
Graduates in 2013
社会健康医学系の学生には、様々なバックグランドの幅広い年齢の方がいて、一緒に講義・実習を受けたり、ディスカッションをしたりするのはとても新鮮でした。私は1年間かけて臨床研究の方法論について学ぶ、医師・歯科医師向けのMCRコースに所属しました。MCRコースには全国から意欲ある様々な科の医師が集まっており、大変刺激を受けました。入学してしばらくは毎日朝から夕方まで講義がありましたが、どの講義も興味深く役に立つものばかりでした。特に「研究プロトコル・マネジメント」という講義は、MCRコースの全ての院生が自分の研究計画を発表し、それに対して、6つの分野の教員の先生方が、各人の臨床上、研究上の疑問、問題点を解決するために意見を言ってくださるという、とても充実した内容でした。自分の発表の時だけでなく、他の院生の発表に対するコメントを聞いているだけでも非常に勉強になったのを思い出します。初めの4ヶ月間は完全に臨床を離れ、朝から晩まで講義、課題、そして研究に取り組むという、普通に医師として勤務していれば経験のできない貴重な時間だったと思います。社会健康医学系専攻のプログラムは、「社会健康医学」に興味のある幅広いバックグラウンドの方にきっと満足して頂ける内容です。