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薬物療法抵抗性大うつ病に対するスマートフォン認知行動療法と抗うつ剤併用療法の無作為割付比較試験
試験の対象者

包含基準

1) 同意時に25歳以上59歳以下の男女
2) 主診断が非精神病性、単極性の大うつ病(DSM-5)
 
(ア) 2週間以上大うつ病エピソードを満たしていた(担当医師がPRIME-MDで確認)あと、ほぼ無症状という時期が2ヶ月以上挟まっていなければ同一エピソードと見なし、エントリー時に大うつ病エピソードの診断閾値以上である必要性はない
(イ) 主診断が大うつ病であれば、不安障害などの合併は可能。認められない合併症は除外基準の2)を参照
3) エスシタロプラムまたはセルトラリンのいずれか、もしくは両方を、今回エピソードで投与していない
4) 薬物治療抵抗性、すなわち、エスシタロプラムまたはセルトラリン以外の1剤以上の抗うつ剤を十分量で合計4週間以上投与したが無反応あるいは部分反応である(Thase & Rushの基準)によるStage I, II,またはIIIに相当する)ため、そこまで使ってきた抗うつ剤をエスシタロプラムまたはセルトラリンに変薬する適応があると担当医師が判断した
 
(ア) 各患者での各抗うつ剤ごとの十分量は担当医師の判断による
(イ) 無ないし部分反応であるかは、第0週時点のBDI-IIが10点以上であるかで判断する
5) 抗うつ剤は単剤処方であり、抗精神病剤や気分安定剤は併用していない。抗不安剤・睡眠導入剤の併用は可。
6) 本人がスマートフォン認知行動療法を希望し、担当医師がスマートフォン認知行動療法の適応があると判断した
7) スマートフォンの操作に慣れている
 
(ア) 原則iPhone/iPadまたはアンドロイド携帯を使用している(旧型iPhone/iPadおよびアンドロイド携帯しか持っていない人にはiPad mini&ルーターを、借用・返却用紙にサインの上貸与する)
(イ) 日常に使用しているメールアドレスがある
(ウ) 日常に使用している携帯電話番号がある
8) 同意取得時に外来患者で、原因疾患を問わず1週間以上の入院の予定がない
9) 4ヶ月以内に転居などにより転院になる可能性は低い
10) 電話による症状および有害事象の評価に協力可能である
11) 書面による説明同意書を理解し署名可能である

除外基準

1) 今回エピソードで、これまでに
 
(ア) モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤の使用歴のある者(担当医師が参加者からの聴取を元に判断)
(イ) 電気けいれん療法または反復性経頭蓋磁気刺激療法を受けた経験のある者(担当医師が参加者からの聴取を元に判断)
(ウ) エスシタロプラムとセルトラリンの両方の使用歴のある者(担当医師が参加者からの聴取を元に判断)
(エ) 対面型個人認知行動療法、対面型対人関係療法を受けた経験のある者(担当医師が参加者からの聴取を元に判断)
2) 合併症に関して
 
(ア) DSM-5による統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害の既往(担当医師が臨床診断)
(イ) DSM-5による認知症、摂食障害、物質依存、境界性パーソナリティ障害の現在症(担当医師が臨床診断)
3) 差し迫った自殺企図の危険が高い者(担当医師が臨床判断)
4) エスシタロプラムやセルトラリンの治療を妨げる可能性のある身体疾患
 
(ア) 下記のスクリーニング問診でエスシタロプラム/セルトラリンの投与が不適切であると判断された者(担当医師が臨床判断)
①現在、心臓の病気(不整脈、狭心症、心筋梗塞、心不全)の治療を受けていますか。
②今までに健康診断や心電図検査を行って、何らかの指摘をされたことがありますか。(あれば)それはいつ頃、どのような指摘でしたか。
③今まで失神を起こしたことがありますか。(あれば)それはいつ頃のことですか。
(イ) 1ヶ月以内の心電図上、QTc延長がある者(男性:QTc>450ms、女性:QTc>470ms) (Vetter 2007)
(ウ) QT延長を起こすことが知られている薬剤(別表参照)を投与中であり、担当医師によりエスシタロプラム/セルトラリン投与が不適当と判断された参加者
(エ) 重篤もしくは著しく不安定な循環器疾患(著明な徐脈の不整脈またはその既往歴のある参加者、うっ血性心不全、低カリウム血症の参加者を含む)を有する者
(オ) 重篤もしくは著しく不安定な肝、腎、呼吸器、血液、内分泌、中枢神経疾患や頭部外傷を有すると判断された者
(カ) 終末期の身体疾患
(キ) ピモジド(オーラップ®)を投与中の者
(ク) エスシタロプラム/セルトラリンに対し過敏症の既往のある者
5) 現在妊娠もしくは授乳中(6カ月以内に妊娠の可能性がある場合は書面により臨床試験中は妊娠を避けることに同意した場合のみ登録可)
6) 現在他の介入を伴う臨床研究に参加している者
7) 本研究の研究者(主任研究者、共同主任研究者、統計学者、担当医師、CRC、秘書)の同居家族
8) 日本語の表記が理解できない者
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