大学生活は、社会参加の準備期間として自立を求められると同時に、学業成績や研究成果のプレッシャー、サークル活動やアルバイトでの対人関係への対応など、精神的な体力とストレス対処スキルなどが求められる局面が多くなります。一方で、大学生活の時期である青年期は、成人と比較すると精神的体力のベースラインが低く、また、様々な要因で精神状態が変動しやすいため、精神的体力を増進し、ストレスへの耐性(レジリエンス)を高めることによって、メンタルヘルスを支える方法が必要と考えられます。
レジリエンスは精神的な耐久力や回復力とも言われ、レジリエンスの向上は精神的な体力の増進、仕事や勉強のパフォーマンス向上につながります。「レジトレ!」は、科学的な根拠が実証されたiCBT(インターネット認知行動療法)メソッドに基づくスマホアプリです。「レジトレ!」は、京都大学が実施する「ヘルシーキャンパストライアル」に参加することで利用できます。このトライアルでは、大学生の皆さんを対象として、スマホによるレジリエンス向上を詳しく検証し、より効果的な健康増進プログラムを開発することを目的としています。
目的
大学生のレジリエンスの向上を目的とするスマートフォン認知行動療法の5つの構成要素(セルフモニタリング、認知再構成、行動活性化、アサーション、問題解決)について、大学生1088名を対象に完全要因ランダム化試験を行い、各構成要素ごとの効果を推定する。この結果に基づき、もっとも効果的かつ効率的な大学生向けのスマートフォン認知行動療法パッケージの開発を目指す。
研究デザイン
平行群間比較、完全要因ランダム化、非盲検化、探索的研究
研究のフローチャート
評価項目
主要評価項目は、第8週のPersonal Health Questinnaire-9 (PHQ-9)によって測定されるストレス度である。
目標参加者数
各介入要素とその交互作用の効果サイズ0.2を、alpha=0.05、beta=0.10で検出するには全1088人のサンプルサイズが必要であると見積もった。
研究実施期間
倫理委員会での承認日~2023年3月31日
評価スケジュール